アグリサイエンティストが行く

農業について思ったことを書いていきます。少しでも農業振興のお役に立てれば。

農業

江戸時代の農業を考える 続編・環境保全型農業の推進について

桜の季節になり、次の休日はどこへ見に行くか、ウキウキしているがんちゃんです。 もう15年も前に、「江戸時代の農業を考える」という記事を書きました。今読んでも悪くないなと感じられる内容ですが、データとかの提示がなく、やや雑な議論になっているなと…

化成肥料の環境負荷は有機質肥料に比べて高く、人体にも有害なのか?

昔の教え子に4年ぶりに再会して、元気そうな様子を見られたのがとってもうれしくて、少し上機嫌ながんちゃんです。 以前のエントリー「化学合成肥料(化成肥料)で土が死ぬ、とは? いえ、それだけでは死にません」につけていただいたコメントで、化成肥料の…

以前の記事「化学合成肥料(化成肥料)で土が死ぬ、とは?」についたはてブへの返信

仕事納めの日が持病の通院日になり、年末年始休暇が一日早まったおかげで10連休となってしまったがんちゃんです。仕事始めの日が怖い…(;゚ロ゚) 今年の10月にアップしたエントリー、「化学合成肥料(化成肥料)で土が死ぬ、とは? いえ、それだけでは死にません…

自家育苗のメリットとデメリット やる農家が少ないのはなぜ?

猫が膝に乗ってきてくれるようになって、気温の低下を実感しているがんちゃんです。 Twitter(X)で農家が自分で種を取る権利について主張されている方がおられました。ちらっと読んだだけなので、おぼろげな記憶では農家が自由に種を取れないのでは困るので…

土壌改良資材として石膏を施用する意義とは ~石灰質資材についてのお話~

ここ連日の猛暑にやられたか、少々体調が思わしくないがんちゃんです。 フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com) 昨年の話になりますが、私の職場の関係機関にとある業者が「石膏」を土壌改良資材として売り込みに来たらしい。いわく、近年の水稲栽培には無…

なぜ農業では肥料が必要なのか 当たり前のことの説明

ここのところ、膝のこわばりに悩まされているがんちゃんです。 フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)近年というよりは、結構前から有機農業の概念をさらに推し進めた自然農法という言葉をよく目にするようになりました。化学合成農薬や、化成肥料不使用は…

土壌酸度測定の世界的先駆者 大工原銀太郎博士とは

現役生活も残り2ヶ月ちょっとのがんちゃんです。 フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)(写真の男性は大工原博士ではありません)土壌肥料の専門家として仕事をしているはずなのに、ごく最近までその用語を知らず、偶然見かけた文章からその存在を知ること…

農家って自家用栽培には農薬を使わないの? いいえ、使います

油断していたら、年始から熱を出してしまったがんちゃんです。 フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)よく言われる「農家は自家消費用の農作物には農薬を使わない」と農薬が危険であることの根拠であるように語られる言説ですが、「使わない」という部分に…

農地への有機物の施用はなぜ必要なのか

1日座り仕事をしていると膝がこわばるようになったがんちゃんです。 前回のPFAS解説記事での、有機物の循環についてもう少し突っ込んで話してみた方が良いなと思いましたので、追記という形で独立した記事にしてみました。 様々な人間活動において、持続可…

下水汚泥堆肥化・利活用時に障壁となるPFASとは

近年、肥料資源の枯渇が懸念されることや、それに伴う肥料高騰などが問題になっています。また、通常の農業生産技術の面からも土づくりが重要視され、循環型農業の必要性が高まってきています。 フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com) ※写真は本題と関係あ…

放射線育種って何?

以前、「あきたこまちR 放射線育種が利用されていますが、それが何か?」というエントリーであきたこまちRが育成された方法と、その育種親に使われたコシヒカリ環1号が放射線を利用した育種方法で育成されたこと、それに全く問題がないことをお話しさせて…

種子法廃止に伴う種苗法の付帯決議について

夫婦での北海道旅行が楽しすぎて、こっちの更新が滞っていたがんちゃんです。 前回、種子法廃止法案の付帯決議につてお話しさせていただきました。 実は改正種苗法の施行時にも、種子法廃止後も都道府県に対し適切な措置を行えるよう国会で付帯決議をしてい…

種子法を廃止する法律案への付帯決議について

また家族(猫)が増えましたが、たまたままた黒猫になってしまったがんちゃんです。 新しい家族のポコさんと先住猫1号のコピさん、2号のミルさんです。 フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com) 主要農作物種子法、いわゆる種子法の廃止は様々な議論を呼び起…

あきたこまちR 放射線育種が利用されていますが、それが何か?

フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com) 台風の低気圧が少々辛いがんちゃんです。 秋田県は、あきたこまちをベースとしてカドミウムの吸収を抑制した水稲品種「あきたこまちR」を開発しました。これは、国が開発したカドミウム低吸収性品種のコシヒカリ環1…

閾値についての個人的な考え方 何かに例えてみれば

フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com) 猛暑の中での外仕事で疲れは溜まってるのに痩せないがんちゃんです。 もう何十年も前から農薬で、ここ10年程は放射線量で人体への影響がある量というものがしきりに議論になっています。危険をあおる側は影響量や毒…

ホタテパウダーは農薬を落とす? そもそも市販農作物には農薬はほぼ残留していないが

フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com) 1年以上放置していて、ようやく更新したがんちゃんです。 最近、SNSで現役のお医者さんが日本の農作物は農薬が多量に残留していて危険である、ホタテパウダーを水に溶いて洗浄すれば農薬が落とせて安全になる旨を発…

種苗法5 表示の義務化、特性表、訂正、判定制度の導入など

よーし書けたぜ。いよいよ送信だ…(スマホでは書いていません) フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com) さて、種苗法の解説も5回目(昨年のも含めると6回目)となりました。主要な部分についてはあらかた説明し終わったと思いますので、残りは飛ばしたり、簡…

種苗法4 「登録品種の増殖は許諾に基づき行う」

さて、4回目となる今回は農水省のpdf改正種苗法について~法改正の概要と留意点~11ページの項目から、「3 登録品種の増殖は許諾に基づき行う」についてのお話です。 以前のエントリー「農家さん、ご心配なく。種苗法の一部を改正する法律案についての解説…

種苗法3 国内の栽培地域指定について

さて、ここまで種苗法の存在意義と海外持ち出し制限、その根拠となるUOPV条約について解説しました。今回は、農水省のpdf改正種苗法について~法改正の概要と留意点~11ページの項目から、国内の栽培地域指定についてとそれ以降の項目について順を追ってやっ…

種苗法改正について2 UPOV条約と海外持ち出し制限

今回のエントリーは前回の続きです。今年度行われる種苗法改正施行について、どのような目的でどのような改正が行われたのかをお話ししてみましょう。 agriscientist.hatenablog.jp 農水省のpdf8ページ目に「我が国で開発された優良品種の海外流出」という…

種苗法はなんのために存在するのか、そして改正法の要点は?

種苗法改正について以前のエントリーで取り上げ、登録品種の自家採種は原則禁止になる、というのは一般的な生産者にとっての不利益はまずありえないということを解説させてもらいました。その後、一部の条文について施行(令和3年4月1日)が近づいていま…

福岡から出荷された春菊に「基準値の180倍」の農薬が検出された意味

先日、JAくるめを通して出荷された春菊から残留基準値を超えるイソキサチオンが検出されました。当エントリーではこれについての考察をしてみたいと思います。 www.recall.caa.go.jp フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)Twitterでフォロワーさんから要請…

農家さん、ご心配なく。種苗法の一部を改正する法律案についての解説

最近、ニュースやSNSなどで種苗法の改正が取りざたされています。生産農家の権利が著しく制限され、大きな不利益を被るのではないかという論調がちょくちょく見られます。 フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)結論から言うと、今までとほとんど変わるこ…

農業生産現場における新型コロナウイルス (COVID-19)対策について

昨年暮れに最初に中国で発生が確認された新型コロナウイルス(COVID-19)による肺炎は、現在世界中に拡散し、日本もその影響を免れていません。2020年4月22日現在で、日本は感染者数、死亡者数ともに低く抑えていて、今のところ健闘していると言えるでしょう。…

新芽を食べる ~地面からにょきにょきアスパラガス~

今回はアスパラガスです。申し訳ないですが、一品目でのご紹介。 野菜解説シリーズ、今回は少し趣を変えてアスパラガス単独でやってみます。古い分類でユリ科野菜とするとネギ属はすでにやってしまったし、クサスギカズラ科とするとこれしかない。軟化・芽も…

じつは花を食べている。イチゴは果物?野菜?

まずはイチゴの分類について イチゴは果物では?と思われる方もおられるかもしれませんが、日本の園芸における分類では草本性作物(樹木にならないもの)は野菜に分類されます。なので、メロン、スイカなども野菜ということになります。現在栽培、流通されてい…

葉っぱを食べる ~煮物、炊き物、炒め物~

今回は菜っ葉類をお送りします。それにしても、アブラナ科は分類が本当に難しい。ほとんどの花はナバナとして食べられるし、葉っぱも同様。後は根さえ太れば・・・。というわけで、「たまたま」葉を食べられるようになったアブラナ科とアカザ科のほうれん草…

葉が玉になる ~アブラナ科結球野菜~

数年前、Twitterで野菜の来歴を解説していく、というシリーズを展開したことがありました。それらをブログに転載していくというのをやろうやろうと思いながら、トゥギャッターにまとめられてるので良いかな、とやり過ごしてきましたが、ネタが無いときはこれ…

平成の農業を振り返ってみて

ずいぶん更新頻度が落ちてしまっていますが、とりあえず生きていることの証明のために何か書かねば、ということでつらつらと思いつくままに。 昨年一年間を通して、またその少し前からの感覚として、やはり温暖化の影響を感じざるを得ません。ここのところ暖…

最近流行りの「スマート農業」って何でしょう?

最近、スマート農業という言葉をよく耳にするようになりました。これは、我々のような農業関係者以外ではそうでもないかもしれませんが、これから先、特に日本のような特殊な環境で農業を持続的なものとしていくために、また世界的に見ればまだまだ増加して…