アグリサイエンティストが行く

農業について思ったことを書いていきます。少しでも農業振興のお役に立てれば。

2011-01-01から1年間の記事一覧

江戸時代の農業を考える

最近、震災に伴う原発事故で反原発を唱える人が多くなっている印象である。もちろん、その声が大きいだけで本当に増えているかどうかはわからない。しかし、現実に今回の震災がもはや「想定外」でなくなってしまった今、多くの人が今までより大きな不安を原発…

小麦戦略と米消費量について

どらねこ(@doramao)さんがのエントリー「小麦戦略でお米が衰退したのか【前編】」を読ませていただいて、思うことがいろいろあり、長くなりそうなのでこちらもエントリーを起こしてお応えする事にした。 まず、どらねこさんのエントリーは「荻原由紀著、パンと…

本当の意味での「自然農法」は存在しない('11.11.18追記)

以前にもこのテーマでは何度か書いているが、エントリーにまとめたのは2年も前になるので、改めて問題点を洗い出してみたい。 まずはごくごく普通に考えて「自然」と「農法」という言葉同士が矛盾している。人工というものが「人の手によって改変されたものあるい…

締めて760円也。このくらいのリソースは払おうよ「もうダマされないための「科学」講義」

さて、当ブログ始まって以来の書評である。ニセ科学関連の問題にはずっと注意を払ってきたし、それが農業に関することならこのブログでも取り上げた来た。しかし、根性なしなので専門外のことにはあまり深入りしなかった。しかし、震災以降とくに放射能問題…

イチゴは苗半作というけれど

私がよく指導に回らせてもらっている地域のイチゴ農家では「イチゴは苗が半作や」という言葉が良く聞かれる。これはつまり、イチゴの栽培は苗作りがうまく行けば、その作は半分終わったようなものという意味である。 それだけイチゴの苗作りはややこしく、長…

減農薬は農薬を戦略的に無駄なく使うことでも実現できる

今回は農薬を効率よく使う方法について述べてみたい。表題には少々刺激的な言葉を使ってみたが、要するに無駄なくポイントを押さえ、先手先手で防除を行えば結局は農薬の散布回数を減らすことができると言う当たり前の話である。 1 病害虫防除の基礎的作戦…

モフモフッ!モフモフッ!in関西! ?ある男がマスクを通して見た世界?

初めにお断りしておきますが、当エントリーは極めて私的なオフ会のレポート記事でありますため、関係者以外がお読みになっても全く何の役にも立たず、興味も沸かないと思われます。それでもお読みになることはご自由ですが、かなり長いので必ず自己責任でお…

昔やった遊びについて語ってみた2

さて、前回ビー玉遊びについて語ってからもう1ヶ月以上たってしまった。ようやく続きを書く気になったので、前回アナウンスしてあった2番以降について語ってみよう。でも、ビー玉以上に記憶が怪しいので、それぞれは短くなるかもしれない。 2 天大中小 2…

緑肥作物と粘土鉱物等によるセシウムの除去は有効か?

3・11の大震災による原発事故以降、放射性セシウム137の土壌汚染が問題となっており、セシウムで汚染された稲わらを食べさせてしまった畜産農家から出荷された牛肉からもセシウムが検出され、これが基準値を超えたとして大きな話題となった。おそらく、その…

塩害対策その2(短め)

以前、一度塩害対策のエントリーを書いた。そのときは、以前に自分が高潮対策で作成した資料を基に一般向けに解説したものとした。今回は少し踏み込んで、除塩対策となる植物について考察してみたい。 さて、農地も大きな被害を受けた宮城県仙台市及び名取市…

有機物施用とアミノ酸吸収について

少し前まで、植物は窒素を硝酸イオンやアンモニアイオンなどの無機状態でしか吸収しないと思われていた。もちろん、それが主要な吸収形態であることは間違いないが、最近ではアミノ酸やペプチドの形でも根から直接吸収されることがわかっている。また、たん…

昔やってた遊びについて語ってみた

またしてもツイッターから拾ってきたネタで申し訳ないが、相互フォローしているひえたろうさんがビー玉遊びについてツイートしていたが、それが自分が記憶していたルールと若干違っていたような気がしたので、自分はこういうルールだったとリプライした。そ…

優しい心って・・・。

自分は常に人に優しく接したいと思っている。思ってはいるが、気が利かないことと、心が狭いこともあって、なかなかうまくいかない。それで、優しくする、というのはどういうことかといつも考えていることなどを書いてみたい。 ほとんどの人が気づいていると…

葉ネギの外葉を剥くと言う行為に意味はあるか(脱線しまくり)

ネギという野菜は、関西以西では京都の九条ネギに代表される葉ネギ(青ネギとも呼ばれる)として使われることが多く、関東及び東日本では根深ネギ(白ネギ)が主流である。当然ながら、瀬戸内地域ではただ単にネギと言えば葉ネギであり、白ネギはわざわざ「白ネギ…

いかにしてさぬきうどんは「さぬきうどん」たりえたのか(大げさ)

さぬきうどんは、今では香川県を代表する食品であり、1世帯当たりの消費量も33.2kg(2008年)で日本一である。全国平均が15.7kgであるからほぼその倍、2位の秋田県でも22kgであるからその突出振りは見事なものと言える。これはうどん屋の店舗数と相関があるら…

方便を使うこと 「もう一度生まれてきても」

普段自分は、いろいろな物事の説明に科学的であることを心がけているし、求めてもいる。しかし、心情的には科学では割りきれないし、割り切りたくないこともある。自分の子供が初めて「死」というものを意識し、それに対して恐れを抱いているときに親として…

津波からの農地の回復にむけて ?塩害対策について?

このたびの東日本大震災では、農作物に対する放射性物質による汚染が実際に起こってしまい、現場廃棄が相次いでいる。また、西日本ではその実感はないが、風評被害も広がっており、福島県産、茨城県産のみならず他の東北、関東の農作物が軒並み価格を下げ、…

TPPでの稲作をどう考えるか

このエントリの本題には関係ありませんが、このたびの東北関東大震災に際し、犠牲者の皆様に哀悼の意を表するとともに、被災者の皆様が一日も早く日常に復帰されるよう、また関係者の皆様のご努力に感謝申し上げます。 <追記> いきなりで申し訳ないが、改…

やっぱり反対しておく、TPP

今までTPPに関してははっきりした態度を表明していなかった。それは、自分の中でTPPに対しての考えがしっかりとまとまっていなかったからだ。では今回、エントリを挙げるに当たって考えはまとまったのかというとまだである。しかし、そんなことを言い…

農作物の適正価格とは ?簡単に答は出せないけれど?

今まで「新しい時代の農業へスムーズな移行を」と「就職先としての農業を考える」の2つのエントリーで農作物生産のコストについて取り上げてきた。そこでは、自分の担当品目であるネギとイチゴを例にして規模と収益についてざっくりとした計算をした。最近は景気…

クレーム処理の是非 2

前回のエントリー「クレーム処理の是非」で土耕栽培のイチゴに高設栽培の写真シールが張られていた事によるクレームのことを書いた。そのことについて友人からtwitterでいくつか指摘があったので、追記しようかと思ったのだが、そのあたりについてわかりやすい…

クレーム処理の是非

先日、我が県の消費生活担当部署に、県産イチゴについてのクレームがあった。一部のイチゴのパッケージにJAがバイヤーと相談して生産者の写真をシールとして貼るようにしたものがある。また、生産者名が箱に押印してあったり、シールとして(写真のものと…

自閉症で気になる記事

気にはなっていたが、詳細を調べずにいた「三種混合ワクチンで自閉症になる」という論文があった。doramaoさんの「とらねこ日誌」というブログで知ったのだが、これが、どうやら論文の構成等に問題があっただけではなく、データが捏造であったとのニュースが…

きわめて雑な映画レビュー 「ヤマト」&「仮面ライダー×仮面ライダー」

この正月は珍しく映画を2本も見た。1本は「SPACE BATTLESHIP ヤマト」。もう1本は「仮面ライダー×仮面ライダー オーズ&ダブル feat.スカル MOVIE大戦CORE」である。このラインナップをご覧いただければたちどころに理解できると思うが、私は実は「特ヲタ…