アグリサイエンティストが行く

農業について思ったことを書いていきます。少しでも農業振興のお役に立てれば。

サイエンス

Wikipediaの硝酸態窒素の解説が色々アレだ!

定期的に読んでいるFood Watch Japanというサイトで、少し前から連載が始まっている岡本信一さんの連載「「よい農作物」とはどんな農作物か?[14]硝酸態窒素が増える問題の本質」でWikipediaの硝酸態窒素の項目が間違っているとの記述を見かけた。そこではその間…

比嘉先生の「発酵と腐敗」

EMの比嘉先生が「EM生活」というEM関連商品の通販ページにある季刊誌「健康生活宣言」 Vol.14(PDF) で発酵と腐敗について述べておられる。これは、自分の以前のエントリー「農業の観点から見たEMぼかしの問題点と活用について」に対する反論になっているよ…

ベラルーシでのEMによる放射性セシウムの移行抑制試験について

以前のエントリーで福島県における各種資材によるセシウムの植物への移行抑制試験について取り上げた。その際、比嘉先生が他の資材での抑制効果との比較について考察せず、EMオーガアグリシステムの堆肥が対象区に対してセシウムの植物への以降量が少なか…

野菜類への腸管出血性大腸菌の付着について(追記あり)

先日、北海道で死者まで出たO157による集団食中毒は、食品業者が製造した漬物が感染源であることが明らかになった。以下、北海道新聞から引用する。 注:本文中で病原菌の腸管出血性大腸菌O157を「O157」と表記していますが、この表記が妥当性を欠…

腸管出血性大腸菌の堆肥から植物体への移行について

前エントリーにおける摂津国人さんからのコメントに対し、職場で調べてみたところ、少しわかったことがあったので、返答もかねて簡単にエントリーにしてみた。ほとんど検索で見つけたので、リンク集に近いものになりました。 牛ふん堆肥での大腸菌の残存につ…

Chhomの学長は遺伝子のことを何もご存じない?

CHhom(カレッジ・オブ・ホリスティック・ホメオパシー)のサイトに次のような記事が掲載された。「7/28(土)【洞爺から全国中継】自家採種のタネが最も大事な多くの理由」 ?引用開始? 生命は最初に雄が退化する。 Yの遺伝子を守る力はXの遺伝子にある。Xの…

「比嘉照夫氏の緊急提言 甦れ!食と健康と地球環境」の問題点

こちらでもたびたび取り上げているEMの比嘉照夫氏がDigital New Dealというサイトで「比嘉照夫氏の緊急提言 甦れ!食と健康と地球環境」という連載記事を書いている。そのほとんど(全部?)がEMに関する記事で、当然ながらEM技術の優位性等について延々と…

福島県の放射性物質除去・低減技術実証試験事業の問題点について

福島県は「民間等提案型放射性物質除去・低減技術実証試験事業」において複数の農業用資材による土壌中の放射性セシウムの農作物への移行を低減する技術の実証試験を行った。その成績書をPDFで入手したが、内容に問題があり、またEMを検討資材の1つとして…

組織として信頼を得るためにできることとは

今年(平成24年)3月20日に京都で「日本の農業と環境シンポジウム」が開催された。主催は「農業生産法人 日本豊受自然農株式会社」である。シンポジウムの表題と主催者名を見る限り、何の問題もないように思える。しかし、内容を見ていくと、農業技術者として看過…

農業の観点から見たEMぼかしの問題点と活用について

今までにも何度か取り上げてきたと思うが、有機質資材としてEMぼかしというものが市販されている。また、有機志向の農業、園芸関係のサイトで取り上げられていることも多く、愛好者は多いようである。 EMぼかしとは、EM菌と呼ばれる微生物資材を利用し…

好塩菌による農耕地の塩類除去は可能か

以前、塩害対策についてのエントリーをあげさせていただいたが、それに関連して知人からツイッターでこんな記事を教えていただいた。 MSN産経ニュース「細菌使い水田塩分を除去 被災地の農業復旧に活用 九州大、岩手で実験」?2012.2.16 02:13 「震災後に…

本当の意味での「自然農法」は存在しない('11.11.18追記)

以前にもこのテーマでは何度か書いているが、エントリーにまとめたのは2年も前になるので、改めて問題点を洗い出してみたい。 まずはごくごく普通に考えて「自然」と「農法」という言葉同士が矛盾している。人工というものが「人の手によって改変されたものあるい…

締めて760円也。このくらいのリソースは払おうよ「もうダマされないための「科学」講義」

さて、当ブログ始まって以来の書評である。ニセ科学関連の問題にはずっと注意を払ってきたし、それが農業に関することならこのブログでも取り上げた来た。しかし、根性なしなので専門外のことにはあまり深入りしなかった。しかし、震災以降とくに放射能問題…

緑肥作物と粘土鉱物等によるセシウムの除去は有効か?

3・11の大震災による原発事故以降、放射性セシウム137の土壌汚染が問題となっており、セシウムで汚染された稲わらを食べさせてしまった畜産農家から出荷された牛肉からもセシウムが検出され、これが基準値を超えたとして大きな話題となった。おそらく、その…

塩害対策その2(短め)

以前、一度塩害対策のエントリーを書いた。そのときは、以前に自分が高潮対策で作成した資料を基に一般向けに解説したものとした。今回は少し踏み込んで、除塩対策となる植物について考察してみたい。 さて、農地も大きな被害を受けた宮城県仙台市及び名取市…

有機物施用とアミノ酸吸収について

少し前まで、植物は窒素を硝酸イオンやアンモニアイオンなどの無機状態でしか吸収しないと思われていた。もちろん、それが主要な吸収形態であることは間違いないが、最近ではアミノ酸やペプチドの形でも根から直接吸収されることがわかっている。また、たん…

自閉症で気になる記事

気にはなっていたが、詳細を調べずにいた「三種混合ワクチンで自閉症になる」という論文があった。doramaoさんの「とらねこ日誌」というブログで知ったのだが、これが、どうやら論文の構成等に問題があっただけではなく、データが捏造であったとのニュースが…

ホメオパシーについて(立場表明のようなもの?)

友人の黒猫亭さんのブログでホメオパシーについて取り上げられていた。ホメオパシーの説明については長くなるのでwikiへのリンクなどでご確認して頂きたい。手抜きと言われても仕方ないが、とりあえず今回はエントリーをあげる事を優先したい。 ホメオパシー…

祝!中西準子先生文化功労者受賞!

産業技術総合研究所安全科学研究部門長の中西準子先生が文化功労賞を受賞された。 誠にめでたい。 中西準子先生は環境に関わる分析・環境関係の研究者で知らないものはない、と言うくらい有名な人なのである。中西準子先生はリスクを定量的に評価するという…

COP10でEM菌

またしても他人のところから引っ張ってきたネタで申し訳ないが、大阪大学サイバーメディアセンター教授菊池誠氏のブログkikulogでCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)のパートナーシップ事業として「EMで海・河川の浄化 全国EM団子・EM活性液投入」とい…

発達障害が親の責任で?

産経新聞に、発達障害についてこんな記事が掲載された。 【解答乱麻】明星大教授・高橋史朗 豊かな言葉がけ見直そう これによると、発達障害や軽度の自閉症は早期発見と適切な対応により予防することが可能とある。ただ、この話はこの明星大教授高橋史朗教授…

なぜ人工物は嫌われるのか?

ご紹介『疑似科学とのつきあいかた』

長崎大学教育学部教育学研究科で表題にある『疑似科学とのつきあいかた』という小冊子が教材として作成されたという情報を友人である黒猫亭さんのブログで知った。黒猫亭さんのところに書いてあるとおり、彼自身がhietaroさんのブログから情報を得た…

人間の「危機を感じる能力」はあてになるか

具体的に「どの話か」と聞かれたら困るのだが、化学物質や食品添加物を忌避する人の論法に時々見かけるのが、「未知の物で、何となく危ないと思った物は避けろ。そう言う人間の危機を感じる力を信じろ」というものだ。それを信じることで、徐々に体をむしば…

官僚が科学情報を発信すること

これもちょっと前の話だが、松永和紀さんがご自身のブログにサイエンスライターの収入について、同じサイエンスライターの北村雄一さんの講演をきっかけに考えたことを書いておられる。 これを読んでいると、本当にサイエンスライターって食えない職業だな、…